平屋が人気の理由をメリットとデメリットから徹底検証!新築時の注意点や間取りのコツも紹介
注文住宅を建てる若い世代を中心に、平屋への関心が高まっています。しかし、実際に住んだ経験のある人は少ないため、平屋での生活が具体的にイメージできずに不安を感じているかもしれません。この記事では、平屋が人気の理由やメリットとデメリットについて解説します。新築時の注意点や快適に暮らすためのコツもご紹介しますので、家づくりを検討中の方はぜひ最後までお読みください。
平屋とは?
平屋とは1階建ての建物を指し、「平家」と表記する場合もあります。階段がなく、リビング・寝室・バスルーム・トイレなどがすべて同じフロアに配置されているのが特徴です。
かつての日本では平屋が一般的な住宅だったものの、土地の高騰や人口増加に伴い建築数は減少しています。限られた土地に多くの家を建てる必要が生じたため、注文住宅でも2階建てや3階建てが主流となったためです。
しかし、平屋のさまざまなメリットが見直され、近年ではデザイナーズハウスとしての平屋も注目を集めています。
平屋が人気となっている理由
最近では、デザインや間取りにこだわった平屋が注目を集めており、注文住宅でも平屋を選択する人が増加傾向にあります。さまざまなライフスタイルに適応し、幅広い世代から支持を受けている主な理由は以下の通りです。
子育てに便利
階段のない平屋は、赤ちゃんや小さなお子さんのいるご家庭にとっては安心して子育てできる環境です。洗濯物を干しに2階に上がったり、掃除機を持って階段を上下したりする必要もありません。家事を効率良く進められ、共働き世帯の時間短縮にも役立ちます。同じフロアで家族全員が生活するため、子どもの様子に目を配りながら保護者が自分の時間を過ごしやすいのも人気の秘密です。
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耐震性や耐風性が高い
平屋は1階部分に上階の荷重がかからないため、複数階建ての建物と比べて耐震性が確保されます。住宅に高さがないため、強風の影響を受けにくいのも特徴です。台風の多い沖縄地方では平屋が多いことからも、耐風性の高さがわかります。また、すべての部屋が地面に面しているため、地震や火災時の避難が迅速に可能です。建物自体の頑丈さに加え、緊急時の避難のしやすさは防災に備えた家づくりを目指す方にとって心強い味方となります。
少子化や高齢化で需要が上昇
令和2年の国勢調査によると、1世帯当たりの人員数は平均2.21人という結果でした。少子化や単身世帯の割合が増えているというのが原因とも考えられ、今後も減少傾向にあります。昔は家族の人数が増えるタイミングで家を大きくするのが一般的だったものの、3人以下の家族であればコンパクトな平屋でも十分な広さです。お子さんが独立した後、老後の生活を考えて平屋に建て替えるケースも増えています。
(出典:統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」)
平屋の5つのメリット
平屋が人気の理由として、世帯人数の減少や災害時への安心感を挙げました。元来のメリットだけでなく、時代の変遷とともに見出される平屋の魅力も多くあります。ここでは、代表的なメリットを5つ紹介しましょう。
高齢者が快適に生活できる
平屋は階段がないため、ワンフロアで生活が完結します。バリアフリーの住まいを実現しやすく、建て替えやリフォームで平屋を検討される方は年々増加傾向です。とくに年配の方にとって階段の上り下りは足腰への負担が大きく、ご家族も転倒によるケガを心配されます。バリアフリーを意識した平屋であれば、リスクを減らし、活動を制限することなく暮らせて安心です。
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家事動線が効率的
洗濯や掃除、片付けなどの家事動線を効率的に計画でき、2階や3階建ての住宅と比べて手間や労力を省けます。たとえば、お掃除ロボットで床掃除を行う場合も1台ですべての部屋をきれいにできて便利です。また、水回りをまとめたり、部屋ごとの配置を近づけたりすれば、生活動線もコンパクトな間取りに設計できます。注文住宅で平屋を建てると、ライフスタイルに合った家づくりが可能です。
家族とのコミュニケーションが増える
平屋での生活は同じフロアに家族全員がいるため、顔を合わせる機会が増えます。お互いの様子を把握しやすく、自然と会話が生まれるというのがメリットです。一戸建て住宅にお住いの方のお悩みで多いのが、「子ども部屋に直行できてしまう間取りだと、声をかけるタイミングがむずかしい」というものです。とくに思春期のお子さんがいるご家庭では、会話がなくても雰囲気から変化に気づけることもあります。
庭でリラックスできる
平屋は「地面に近い暮らしができる」というのも特徴の1つです。緑豊かな庭を設ければ、窓からも自然を感じられます。家の中に開放感が広がり、窓を開ければ風通しも良くて気持ちが良いでしょう。テラスを設置して、お茶や食事を楽しむことも可能です。お子さんやペットも自由に動けるので、ゲストを招いてホームパーティーを開く機会の多いご家庭にも適しています。
小屋裏を有効活用できる
平屋は2階がないため、屋根と天井の間にある小屋裏スペースを有効活用できます。通常は1階部分の天井は水平につくられているものの、平屋では屋根の勾配に合わせて斜めにした「勾配天井」も可能です。勾配天井では梁を見せて奥行きやダイナミックな雰囲気を演出でき、木材の温かみを空間のアクセントとしても使えます。他にも小屋裏を収納スペースにしたり、キッズスペースにしたりと工夫次第で幅広く活用できて便利です。
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平屋のデメリットと対処方法
平屋のメリットを理解すると、非常に魅力的に感じるかもしれません。しかし、「2階部分がない」という構造は、デメリットを生み出してしまう側面もあります。事前に知っておきたいデメリットと対処方法について紹介しましょう。
北側の部屋が暗くなりやすい
平屋では敷地の条件によっては、北側に部屋が多くなってしまいます。南側に窓がない間取りが多く、部屋全体が暗くなってしまうのが難点です。解消法としては、中庭の設置をおすすめします。北側の部屋を中庭に面して配置すれば、南側からの採光も可能となるためです。
広い敷地が必要
平屋はすべての部屋を1階に配置するため、2階建てと同じ部屋数にするには単純に倍近い敷地面積が必要となります。土地の購入を予定している方は、希望の間取りを考慮しながら検討しましょう。または、住宅会社に相談して、間取りのプランを提案してもらうのも1つの方法です。
工事費用が高い
平屋は2階建て住宅と比べて、基礎と屋根の面積が広くなります。そのため、多くの住宅会社では工事費用が高めに設定されているので注意が必要です。2階建て住宅よりも工事費用が高いものの、平屋には階段がありません。結果的に総面積が小さくなる可能性も高いため、まずは見積もりを依頼してみるのがおすすめです。
家族のプライバシーが守りにくい
平屋では、リビングから寝室や子ども部屋へ直接出入りできる間取りが多く見受けられます。廊下を隔てないため、テレビの音や電話の声が聞こえたり、それぞれの部屋への出入りが見えたりして落ち着かないという声もあります。互いのプライバシーを尊重できるように、ドアの向きを工夫したり、目隠しとなる壁をつくったりして対策しましょう。
夏は暑くなりやすい
平屋は部屋の真上に屋根があるため、太陽の熱が室内に伝わりやすくなっています。断熱性能が低い家を建ててしまうと、夏の室内は高温になってしまう原因です。必然的に冷房の使用量が増え、電気代も高くなってしまいます。注文住宅で平屋を建てる際は、高断熱の家づくりを得意とするハウスメーカーや工務店への依頼がおすすめです。
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泥棒の侵入対策が必要
平屋は開放的な造りのため、防犯ガラスやセンサーライト、防犯砂利などで泥棒や空き巣対策が必要です。すべてを導入すると費用もかさむため、設計の段階で窓の位置を高くしたり、見通しの良い外構にしたりして予算を抑える対処方法もあります。防犯アイテムは後付けできるものも多いので、無理のない範囲で計画しましょう。
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外からの視線が気になる
平屋は通行人や隣人から室内が見えやすく、視線を感じやすい環境です。隣家の庭と面した窓の場合、カーテンが開けられない可能性もあります。窓を高い場所に配置したり、目隠し用の柵や木を植えたりすれば視線が気にならないでしょう。立地を考慮した上で、間取りを計画するのがおすすめです。
浸水時に逃げ場がない
2階建て住宅なら1階が浸水しても、2階に垂直避難できます。しかし、平屋の場合は、逃げ場を失ってしまうのが課題です。台風や水害時に浸水が考えられる土地では、避難経路を確保する必要があります。家づくりの段階では、盛土や基礎の高さを調整して床上まで浸水しないように対策可能です。
平屋を新築する際に注意したいポイント
平屋のメリットとデメリットを理解した上で新築を考える方にお伝えしたいのが、以下の3点です。平屋で生活したことのない人が入居後に後悔しやすいポイントでもあるので、事前に理解しておきましょう。
トイレは2つ設置すると便利
一戸建て住宅の間取りとして、トイレは各階に1つというイメージがあるかもしれません。平屋は1階のみとなっているものの、家族の人数は2階建て住宅と同じです。通勤や通学の時間が重なるご家庭では、トイレが1つしかないとストレスになってしまいます。
また、トイレが詰まったり、故障したりした際も2つあれば安心です。現在のお住まいでトイレの数が1つでも困っていないというご家庭の場合は、以下の可能性を考慮します。
- お子さんの友だちをはじめ、来客が増える可能性はあるか
- 将来的に親との同居を考えているか
トイレは後からの増設が非常にむずかしいため、少しでも可能性がある場合は2つ設けるほうが経済的です。
洗濯物を干す場所を決めておく
平屋にはベランダがないため、洗濯物を干す場所について考えておかないと入居後に困ってしまいます。どこに干すかは各家庭によって正解が異なるため、家の広さや間取りも考慮しながら検討しましょう。
以下は、平屋で洗濯物を干す代表的な場所と特徴です。
・ランドリールーム ランドリールームとは、洗濯に関する「洗う・干す・取り込む・アイロンをかける・畳む」といった作業を行うスペースです。洗濯機のすぐ横で干せるため、濡れた洗濯物を持って移動せずに済みます。天気や時間帯を気にせずに洗濯できるので、とくに共働き世帯に人気です。 ・サンルームサンルームとは、天井や壁をガラス張りにした空間となります。室内でありながら、太陽光を十分に採り入れられるので洗濯物が早く乾くというのが特徴です。窓をつければ風通しも確保でき、外干し派の人に指示されています。 ・庭 庭は屋外にあるので、風通しが抜群です。ランドリールームやサンルームと比べても洗濯物が早く乾き、日光による殺菌効果も期待できます。室内干し特有のニオイが気になる人や天候に合わせて暮らしを楽しみたい人に適しています。 |
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実績豊富な会社を選ぶ
平屋自体は古くからある建物ですが、住宅会社によって建築実績には差があります。たとえば、昔ながらの平屋を得意としている会社では、今風のデザインは望めないかもしれません。過去の建築例を見て、理想とする平屋づくりを依頼できるか判断するのがおすすめです。
また、デザイン以外の実績も重要となり、夏の暑さ対策のためにも断熱性能の高い家づくりができるハウスメーカーを選びましょう。断熱性能は素人には判断がむずかしい部分のため、断熱等級を参考にします。断熱等級は1から7まであり、等級7が最も高い断熱性能を持つ住宅です。
家づくりには細かな配慮が必要となるため、土地勘のないエリアにマイホームを構える際は地域密着型の工務店が頼りになります。災害や防犯に関する情報にもくわしく、その土地に合った間取りを提案してもらえるためです。
まとめ
平屋は階段の上り下りがなく、家事の手間が減らせるのでとくに共働き世帯に人気です。最近ではスタイリッシュなデザインも増え、若い世帯からも注目を集めています。バリアフリーな暮らしが実現でき、小さなお子さんや高齢者のいるご家庭でも事故のリスクが少なくて安心です。ただし、入居後の後悔を減らすためには、注意しなければならない点もあります。記事の内容を参考に、長く快適な暮らしができる平屋を新築しましょう。