注文住宅購入者のための光熱費節約ガイド!省エネ設計から時短家電の活用まで
注文住宅を購入した家族

家づくりコラム

注文住宅購入者のための光熱費節約ガイド!省エネ設計から時短家電の活用まで

注文住宅を購入した家族

注文住宅を建てる際は、光熱費の節約を考慮した設計がおすすめです。毎日の生活に不可欠な水道・電気・ガス代は、家計への大きな負担となります。生活費の節約は住宅ローンの返済にも影響するので、慎重に計画しましょう。

この記事では、新築の注文住宅を検討中の方に向けて、省エネ住宅の設計から時短家事の導入についてお伝えします。注文住宅の設計段階で検討しておくと、入居後に後悔せずに快適な生活を実現できる情報が満載です。お財布と環境にやさしい家づくりを実現させる参考にしてください。

省エネ設計で注文住宅の光熱費節約を実現する

省エネ設計の注文住宅

注文住宅の新築にあたって、光熱費の節約は重要なポイントとなります。省エネ家電の利用や日常生活での工夫によっても削減できるものの、最も効果的な方法は省エネ住宅の検討です。

省エネ性能の高い注文住宅を新築すれば、将来的に経済的なメリットを受けられます。光熱費を削減するためにどのような構造や仕組みを導入すべきか解説しましょう。

断熱性と気密性の向上

住宅の断熱性と気密性は、住み心地とエネルギー効率をアップさせるために必要不可欠です。適切な断熱性を使用すれば、外気温と関係なく室温を一定に保てます。注文住宅の外壁や床、屋根には高性能な断熱材を使用するのがおすすめです。断熱材を適切に配置し、熱の出入りをコントロールして光熱費の削減に努めましょう。

ただし、優れた断熱性の住宅でも、気密性が不足していると外気温の変化やすきま風の影響を受けてしまいます。注文住宅の気密性を上げるためには、高性能な窓ガラスや熱伝導率の低い窓サッシが効果的です。

太陽光発電システムの導入

太陽光発電システムを設置すると、太陽の光エネルギーを利用して自宅で発電できます。家庭内で使う電力を自給自足できるため、電気代の節約が可能です。太陽光発電システムでは、余った電力を電力会社に売却できます。節電による節約だけでなく、売電による収益が得られるのもメリットです。

太陽光発電にエコキュートやヒートポンプ式温水床暖房を組み合わせれば、省エネ性能の高い家が実現できます。自然エネルギーを積極的に活用し、環境と家計にやさしい家づくりを目指しましょう。

【関連記事】
太陽光発電の仕組みとは?導入前に知っておきたい基礎知識を初心者向けに解説

蓄電システムの設置

蓄電システムとは、電力を必要な時に使えるように蓄える仕組みです。太陽光発電システムのみを導入しても電気は溜めておけません。蓄電池を設置すれば、昼間に発電した電力を夜間に利用できるようになります。悪天候が続く季節でも、蓄電システムがあれば電力不足になりにくく安心です。

家庭用の蓄電池にはさまざまな種類があるものの、急速充電できるリチウムイオン電池が人気となっています。蓄電システムは多くの注文住宅で導入され、省エネ生活と光熱費の削減を求める声が大きくなっているとわかります。国も蓄電システムの導入を推奨しており、給付金制度も増加傾向です。

【関連記事】
【2023年】新築住宅に太陽光発電や蓄電池の補助金はもらえる?金額や申請過程を解説

HEMSの活用

HEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)とは、家庭内の電力使用量を可視化して管理できるシステムです。通常、家庭内の電気使用量は料金表でないと確認できないため、1か月に1度しか節電に意識を向けるチャンスがありません。HEMSを導入すれば、リアルタイムで家庭内の電力使用状況を確認できます。

どの家電がどれだけ電力を消費しているか、どの時間帯に電力の使用量がピークになっているかをモニターできるのがHEMSの強みです。状況によって家電を自動制御できる機能もあり、太陽光発電と組み合わせて設置すれば、売電や蓄電も効率的にコントロールできます。

家電の使用方法を見直してさらなる節約を

家電の使用方法を見直して節約する

省エネ設計の注文住宅を建てるだけでなく、家電の使用方法によっても光熱費の節約が実現可能です。家電の設定や使い方を工夫するだけで、省エネ効果は高まります。日常的に使う家電を中心に、節約テクニックを紹介しましょう。

エアコンの電気代を節約する方法

エアコンの電気代を節約するためには、定期的なフィルター掃除が必須です。フィルターにたまったほこりや汚れはエアコンの効率を低下させ、同じ温度でも冷暖房の効きが悪く感じてしまうこともあります。

エアコンは、「自動運転モード」での使用がおすすめです。節約のために風量を弱くしても、設定温度になるまでに時間がかかってしまい逆効果です。エアコンのオート運転を活用すれば、余分な電力消費を抑えられます。

設定温度も消費電力に影響し、1℃の違いでも電気代は大きく異なります。エアコンに頼り過ぎず、服装で調節したり、扇風機やサーキュレーターを併用したりしましょう。

冷蔵庫の電気代を節約する方法

冷蔵庫の電気代を節約するためには、庫内に物を詰め込みすぎないようにします。隙間がないほどに詰めてしまうと、冷気が循環せずに消費電力を増加させてしまいます。冷蔵庫内の温度を低く保つためにも、熱い物は事前に冷ます、ドアの開閉回数を減らすといった工夫も大切です。

ドアのパッキンが劣化している場合は密閉性が低下し、冷気が外に逃げてしまうので新しいものと交換します。なお、冷蔵庫の設定温度は、冬季には「弱」、夏季には「中」の設定温度でも十分です。

照明の節電方法

照明の電力消費が最も高まるのは「点灯した瞬間」とされているため、電気をこまめに消すという節電方法は必ずしも適切ではありません。5分程度であれば、電気は消さずに点灯させておきましょう。

電球は種類によって消費電力が異なるため、LEDタイプに交換するのも節電への近道です。LED電球はその他の電球に比べて値段が高いものの、寿命が長く、消費電力も抑えられます。電球の交換頻度が低く済み、月々の電気代も節約できて経済的です。

電気給湯器を使った光熱費の節約方法

電気給湯器は、ガス給湯器に比べて安全性が高くなっています。注文住宅でも人気の設備なものの、電気代がかかるというのが難点です。

自動で追い焚きや足し湯を行うタイプの給湯器は、とくに注意する必要があります。お湯の温度や量を常に管理しており、電源が入っているだけで電気代が生じるためです。給湯器を使用しない間は、電源を切るように心掛けましょう。

お湯の使用量を抑えるためには、食器を洗う前に水につけたり、シャワーや水を使わないときは止めたりします。水道代とも直結する設備なので、家族全員で協力して意識するのが大切です。

注文住宅の給湯設備については、「エコキュートとガス給湯器の比較と統一省エネラベル活用法 | 注文住宅の給湯システム選び」をご覧ください。

光熱費を節約する4つのアクション

光熱費を節約するアクション

光熱費の節約は家電の使用方法以外にも、当たり前のようにしている行動の見直しも大切です。家電を使う頻度や生活習慣を変えるだけでも、電力消費量は抑えられます。省エネ生活は、環境への配慮にもつながるので注文住宅を建てる前から実践してみましょう。今日からできる4つのアクションを具体的に紹介します。

洗濯の頻度を減らそう

洗濯機は水道代と電気代に影響を与える家電です。光熱費削減のためには、毎日少量ずつ洗濯せずに、まとめて洗濯します。洗濯機を最も効率よく使うためには、容量の8割程度の洗濯物が理想とされています。節約のために無理に詰め込むと、汚れが落ちにくくなるので注意が必要です。

6kgの洗濯機を使用した場合、洗濯物の量によって光熱費は大きく変わります。4割の洗濯物でこまめに洗った場合と、8割の洗濯物をまとめて洗った場合の節約額は以下の通りです。

節約金額省エネ量
水道代約3,820円16.75m3
電気代約130円5.88kWh
(出典:省エネルギーセンター「家庭の省エネ大辞典冷蔵庫」)

年間の節約額としては、約4,000円となります。洗濯の際に、お風呂の残り湯を使えば水道の使用料金はさらに減らせるでしょう。

お風呂の入り方を見直そう

湯船に浸かる場合、家族全員の入浴時間をそろえます。別々の時間帯に入ると、追い炊き機能を使用しなければなりません。追い炊きのたびにガスや電気を使用してしまうと、光熱費が高くなってしまいます。

時間帯が合わない家庭は、できるだけお湯が冷めない工夫も必要です。湯船に保温シートを浮かべてから蓋をすると、熱が逃げにくくなります。

浴室でシャワーを使う際は、こまめに止めるのも重要です。45℃のお湯を1分間出しっぱなしにするだけで、年間のガス代は約1,760円、水道代は約1,000円もかかってしまいます。

(参考:省エネルギーセンターの「家庭の省エネ大事典風呂給湯器」)

調理方法を工夫しよう

オール電化の注文住宅ではない限り、キッチンでは電気・ガス・水道を使うのが一般的です。食材の下ごしらえは、ガスコンロよりも電子レンジを使うほうが光熱費はかかりません。炊飯器も保温機能の使用は4時間以内にし、それ以上の場合は電子レンジで温め直すほうが経済的です。ガス給湯器を導入しているご家庭では、お湯の設定温度を下げるだけでガス代の節約になります。

さまざまなエネルギーを使う場所なので、注文住宅を設計する段階で省エネを意識しておくのも大切です。太陽光発電システムを設置しておけば、電気代を気にせずに使用できます。ガスも都市ガスとプロパンガスでは料金が大きく異なるので、居住予定地の状況を事前に確認しておくと安心です。

(参考:省エネルギーセンターの「家庭の省エネ大事典電子レンジ」)
(参考:省エネルギーセンターの「家庭の省エネ大事典風呂給湯器」)

古い家電は買い替えよう

古い家電は消費電力量が大きいため、光熱費が高くなる原因の1つとなります。中でもエアコンと冷蔵庫は消費電力が大きい家電なので、新しいモデルに買い替えるだけで光熱費を大幅に削減可能です。壊れていない家電を買い替えるのに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、最近の家電は省エネ性能が上がっています。

2020年と2010年の冷蔵庫を比較した場合、消費電力は約37~43%も少なくなりました。年間の電気代に換算すると、約4,740円〜6,090円も節約できます。同じく、エアコンも消費電力量が約12%も省エネになり、年間の電気代節約額は約2,920円です。

(参考:環境省「2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?」)

注文住宅に時短家電を導入すれば光熱費を節約できる?

注文住宅に時短家電を導入

注文住宅の設計中、節約とは別に時短を意識される方も多く見受けられます。小さなお子さんがいるご家庭や共働きのご家庭の場合、食器洗い乾燥機と浴室換気暖房乾燥機で悩まれるケースがほとんどです。どちらも家事の時短につながる家電なものの、初期費用がある程度かかります。長期的に節約につながるのかを気にされる方に向けて、2つの家電の光熱費について解説しましょう。

食器洗い乾燥機

毎日の食器洗いは時間と手間がかかるため、自動で行ってくれる食器洗い乾燥機は人気です。注文住宅のキッチンに設置する場合、システムキッチンに組み込まれたビルトイン型をおすすめします。見た目がスッキリするだけでなく、大容量で大量の食器や鍋を一気に洗えるためです。

食洗機は庫内にためた少量のお湯や水を上手に循環させ、効率的に洗浄を行います。手洗いに比べて水の使用量が少なく、ランニングコストも約半分に抑えられるのが特徴です。1回のランニングコストは、手洗いは約62.3円で、食洗機(NP-45MD9シリーズの場合)は約31.2円となります。食洗機の利用により、年間で約22,700円もの節約が可能です。

食器洗い乾燥機は光熱費がかかるように感じるかもしれませんが、手洗いよりも節約できます。手洗いにこだわりがなく、光熱費の削減や家事の時短に興味がある方にはおすすめの家電です。

(参考:Panasonic「とっても節水・節約 | ビルトイン食器洗い乾燥機」)

浴室換気暖房乾燥機

浴室換気乾燥機は、お風呂場の換気扇を利用して洗濯物を乾燥させられると人気があります。乾燥機能付きの洗濯機と違い、ハンガーにかけた状態で乾かせるのが特徴です。入浴後に浴室を乾燥できるので、カビの発生を防げるメリットもあります。

光熱費を見てみると、1時間の電気代は約32円となります。毎日3時間、1か月使用した場合の電気代は約3,000円です。節約の観点から考えると、日常的な使用は控えたほうがいいかもしれません。浴室の換気扇としての機能もあるので、梅雨や花粉のシーズンのみ役立てれば十分元は取れます。(参考:LIXIL「換気乾燥暖房機 100V 品番:UFD-110A」)

一年中部屋干しを希望される場合は、室内に物干しスペースやランドリールームを設けておくのも1つの方法です。注文住宅設計時に、住宅会社や工務店の担当者に相談してみましょう。

まとめ

注文住宅を設計する際は、光熱費の削減につながる性能や家電の導入がおすすめです。初期費用が増える可能性はあっても、毎月の節約額が大幅にアップします。住宅購入後のライフプランも見据え、長期的な視野での検討が必要です。

家づくりは将来を見越したものであり、専門家の知識とサポートが欠かせません。信頼できる住宅会社や工務店を選び、家づくりをサポートしてもらいましょう。

家づくりコラム一覧へ戻る