外壁サイディングの種類と特徴を知ろう!メリット・デメリットからメンテナンス方法までを解説
サイディング外壁の家

家づくりコラム

外壁サイディングの種類と特徴を知ろう!メリット・デメリットからメンテナンス方法までを解説

サイディング外壁の家

注文住宅の外壁として、サイディングは人気があります。主に4つの種類があり、特徴やメリット・デメリットは同じではありません。外壁の素材は、注文住宅での生活に影響を与えます。予算やデザインだけでなく、ライフスタイルに合わせて選ぶのが大切です。この記事では、サイディングの種類や特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。注文住宅の外壁材に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

サイディングとは?

注文住宅の外壁サイディング

サイディングとは、建物の外壁に使用される仕上げ用の板材の種類です。「サイディングボード」とも呼ばれ、1960年代から建築に利用されています。サイディングの登場前はセメント、砂、水を混ぜたモルタルが主流でした。

サイディングは施工が短期間で完了し、工事費用を節約できるのが特徴です。デザインの種類や機能も豊富なため、注文住宅の外壁としても人気があります。

サイディングの種類は4つ

サイディングは主に「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4つの種類に分かれます。

窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、セメントと繊維質の材料を高温処理して作られる外壁材です。軽量かつ耐久性が高いため、戸建て住宅の約76.8%が採用しています。

(出典:一般社団法人日本サッシ協会「2022年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要」)

金属系サイディング

金属系サイディングとは、金属板を成形し、エンボス加工した外壁材です。注文住宅の外壁では、アルミ、亜鉛、シリコンでメッキ加工した「ガルバリウム鋼板」が人気となっています。

木質系サイディング

木質系サイディングは木材を使用し、表面に塗装と不燃処理が施された素材です。本物の木が使われているため、環境に優しく、温かみのある外観に仕上がります。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングボードは主に塩化ビニル樹脂で作られており、北米では非常に人気の素材です。日本に導入されたのは1990年代と比較的新しいため、まだ多くの実績はありません。

窯業系サイディングのメリット・デメリット

窯業系サイディングと窓の外壁

窯業系サイディングは、優れた機能性と多彩なデザインが特長です。しかし、劣化の可能性も考えなければなりません。窯業系サイディングのメリットとデメリットについて見てみましょう。

窯業系サイディングのメリット

窯業系サイディングには、主に3つのメリットがあります。

1.デザインが豊富

窯業系サイディングは人気があるため、多くのメーカーが多彩なデザインを提供しています。デザインのバリエーションが豊富なだけでなく、色も自由に塗装可能です。木目・レンガ調・タイル柄などの幅広い種類から、注文住宅にぴったりの外壁を選べます。

2.手ごろな価格

窯業系サイディングは多くのメーカーから販売されており、他の外壁材に比べて費用が比較的安価です。手作業での仕上げ作業が不要なため、施工にかかる時間や手間が少ない特徴もあります。耐久性や汚れにくさといった機能も備えているため、予算を抑えるためのコストパフォーマンスも抜群です。

3.安定した品質

窯業系サイディングは工場で製造されており、品質が安定しています。検品を経て出荷されるため、形状や性能に大きなばらつきがありません。職人のスキルによって仕上がりが変わる外壁材と比較して、窯業系サイディングは品質が一定です。

窯業系サイディングのデメリット

窯業系サイディングには、主に2つのデメリットがあります。

1.メンテナンスの頻度に注意

窯業系サイディングの外壁は、定期的なメンテナンスが必要です。塗装が劣化すると見た目が悪くなるだけでなく、家を保護する機能にも影響を及ぼします。約10〜15年ごとに外壁の塗り直しが必要です。再塗装のタイミングは外壁材の種類によって異なるため、不明な点は工務店の担当者に相談してみましょう。

2.シーリングが目立つ

外壁材の継ぎ目に使用されるシーリングは、雨水の浸入を防ぐ重要な役割があります。しかし、シーリング材が外壁の色と微妙に異なったり、経年劣化で変色したりすると目立ってしまうのが難点です。目立たなくする対処法はあるものの、どのような対策を取っても継ぎ目は残ります。シーリングが気になる場合は、他の外壁材を検討しましょう。

金属系サイディングのメリット・デメリット

金属系サイディングのイメージ

金属系サイディングは、窯業系についで人気のある外壁材です。洗練されたモダンな仕上がりに惹かれ、注文住宅に採用する人が増えています。窯業系サイディングのメリットとデメリットについて見てみましょう。

金属系サイディングのメリット

金属系サイディングのメリットは、主に3つあります。

1.軽量

金属系サイディングは、窯業系やモルタルの塗り壁に比べて非常に軽量です。外壁材が軽いと建物の耐震性が向上し、地震の揺れによる建物への負担が軽減されます。家具が倒れにくくなるため、被害を最小限に抑えられる安心感も特徴の1つです。

2.優れた断熱性

金属系サイディングには断熱材を裏打ちしているのが一般的です。金属は熱が伝わりやすいというイメージとは異なり、高い断熱性を備えています。一部の製品では、窯業系サイディングと比較して5倍以上の断熱性が実証されているほどです。

(参考:アイジー工業株式会社「[住宅用金属製外壁材 金属サイディング] アイジーサイディング」)

3.優れた遮音性

背面に断熱材を備えた金属系サイディングは、1000Hzの周波数帯域で、約40dB(デシベル)もの音を遮断する商品もあります。交通量の多い交差点での騒音が、病院の廊下まで静かになるレベルです。交通量の多い地域に注文住宅を建てる予定の方におすすめします。

(参考:旭トステム外装「性能と特徴|Danサイディング」)

金属系サイディングのデメリット

金属系サイディングのデメリットは、主に2つあります。

1.傷が目立ちやすい

金属系サイディングの表面に施された塗装が傷つくと、下の金属が露出しやすくなります。お子さんが自転車やおもちゃを擦ってしまう可能性がある場合は注意しましょう。濃い色のサイディングは傷が目立ちやすい傾向にあるため、明るい色合いや柄のあるデザインを選ぶのがおすすめです。

2.サビへの懸念

金属系サイディングの表面にはサビを防ぐためのメッキが施され、塗装やコーティングが行われています。しかし、時間とともに劣化し、メッキが剥がれるのが難点です。メッキが剥がれるとサビが発生しやすくなり、外壁に穴が開く、雨漏りの原因となるリスクもあります。金属系サイディングを選ぶ場合、サビ対策を行いましょう。

木質系サイディングのメリット・デメリット

木質系サイディングの外壁

木質系サイディングは、天然の木材を使用した外壁材です。コストパフォーマンスが高いわけではないものの、注文住宅の外壁として人気があります。木質系サイディングのメリットとデメリットについて見てみましょう。

木質系サイディングのメリット

木質系サイディングには、主に3つのメリットがあります。

1.自然の温もり

木質系サイディングの魅力は、本物の木材が持つ自然な温かさです。窯業系にも木目調のデザインがあるものの、木質系サイディングの質感にはかないません。木の種類によって幅広い印象を演出できるので、注文住宅の外観をイメージに沿って仕上げられます。

2.優れた断熱性

木質系サイディングは熱を通さない性質があるため、断熱性に優れているのが特徴です。夏の日差しが強い時季でも、室温への影響を最小限に抑えられます。直射日光が当たる場所や気温の変化が大きい地域に注文住宅を建てる際におすすめです。

3.色合いの変化を楽しめる

木質系サイディングは、時間の経過とともに色合いが変わります。本物の木材ならではの仕様で、他の外壁材では味わえない魅力です。経年劣化と捉える人もいますが、色合いの変化を楽しめると好む人も多くいます。

木質系サイディングのデメリット

木質系サイディングのデメリットは、主に以下の2つです。

1.頻繁なメンテナンスが必要

木質系サイディングの外壁は、紫外線や雨にさらされるうちに色褪せてしまいます。定期的な塗り替えが不可欠で、木材の種類によっては1〜2年ごとの塗り替えが必要です。一般的には4〜6年程度もつものの、他の外壁材と比べてメンテナンス周期は短めとなっています。最近では、約10年間は再塗装が不要な耐久性の高い塗料を使用した木質系サイディングも人気です。

2.価格が高め

木質系サイディングの材料費自体は他の外壁材と大差ないものの、施工費用は高額な傾向があります。施工できる外壁業者の数が限られており、工事には手間がかかるためです。木質系サイディングは定期的な再塗装が必要なうえ、専用の塗料を使用したり、経験豊富な施工業者に依頼したりしなければなりません。初期費用だけでなく、将来のメンテナンス費用もしっかりと考慮しましょう。

樹脂系サイディングのメリット・デメリット

樹脂系サイディングのイメージ

樹脂系サイディングは塩化ビニル樹脂を主成分とし、非常に耐久性があり、手入れが簡単です。日本ではあまり使用されていない種類なものの、今後の普及が期待されます。樹脂系サイディングのメリットとデメリットについて見てみましょう。

樹脂系サイディングのメリット

樹脂系サイディングのメリットは、主に3つあります。

1.メンテナンスがほぼ不要

樹脂系サイディングは耐久性に優れているため、メンテナンスがほとんど不要です。窯業系や金属系サイディングは約10年ごとに再塗装が必要とされるのに対し、樹脂系サイディングは約20〜30年間塗装する必要がありません。管理の手間やメンテナンス費用の削減に役立ちます。

2.凍害や塩害に強い

樹脂系サイディングは、寒冷地や海辺などで役立つ外壁材です。冬に雨水が凍って外壁を傷つける凍害は、北海道や新潟、東北地方などの寒冷地域で発生します。また、海岸近くでは、塩分を含む風が外壁にサビを引き起こす塩害が問題です。樹脂系サイディングは凍害や塩害に対して耐性が高く、影響を受けにくい性質も持っています。

3.自然災害に強い

樹脂系サイディングは、自然災害に対しても強い素材です。頑丈で衝撃にも強く、へこみや割れのリスクは低い特徴があります。強風や台風による飛来物がぶつかっても、建物への被害を最小限に抑えられるでしょう。他のサイディングに比べて軽量なため、地震にも強いのが利点です。

樹脂系サイディングのデメリット

樹脂系サイディングのデメリットは、主に2つあります。

1.施工業者を見つけるのが困難

樹脂系サイディングは塩化ビニル素材を使用しているため、気温の変化に伴う伸縮の生じやすい特徴もあります。季節によって施工方法が異なり、工事が複雑なのも問題です。日本ではあまり実績のない外壁材なので、熟練した業者を見つけるのは簡単ではありません。

2.デザイン性が低い

樹脂系サイディングは、窯業や金属サイディングに比べてデザインのバリエーションが少ないのも特徴です。注文住宅のデザイン性を優先したい場合は、不向きな可能性があります。設置費用が高いことも含め、デザインと価格のバランスも慎重に検討しましょう。

サイディングのメンテナンスと耐用年数

外壁サイディングのメンテナンス

サイディングも他の建材と同様に寿命が存在します。外壁の再塗装やシーリングの補修によって、耐用年数の延長は可能です。ただし、サイディングの種類や素材によって劣化の速度は異なります。どのサイディングを選ぶにしても、将来的にはメンテナンスが必要になると心得ておきましょう。

サイディングの耐用年数メンテナンス時期

外壁の耐用年数は材質や種類によって異なるものの、定期的なメンテナンスを行った場合の一般的な寿命は約40年です。定期的な再塗装の目安は、以下の表を参考にしてください。

窯業系サイディング7~10年
金属系サイディング10~15年
木質系サイディング8~10年
樹脂系サイディング10~20年

外壁は雨風や太陽光の影響を受けやすくいため、シーリング部分のメンテナンスや防水性を保つための再塗装は欠かせません。注文住宅を建てた後も、定期的な点検とメンテナンスを行う必要があります。

サイディングの補修が必要な場合

サイディングのメンテナンスが必要なケースとして、以下の状態が一般的です。

小規模な修理は自分で行える可能性もあるため、早めの対処をおすすめします。高所や広範囲の修理が必要な場合は、専門の業者に依頼しましょう。

メンテナンスの頻度を減らす方法

メンテナンスを完全に無くすのはむずかしいものの、耐久性の高い塗料やシーリング材を選べば頻度を減らせます。外壁の塗り替えは10年ごとが目安ですが、10年以上の耐久性を持つ商品も増加傾向です。ただし、耐久性が向上しても、定期的な点検やメンテナンスは行う必要があります。注文住宅を依頼する際は、購入後のメンテナンスについて詳細に説明してくれる住宅会社や工務店を選ぶと安心です。

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まとめ

外壁サイディングは、種類と特徴によって費用だけでなく、メンテナンスの頻度も異なります。注文住宅での生活にも大きく影響するため、ライフスタイルに合わせて選ぶのも大切です。記事を参考にしながら、不明な点や疑問点は住宅会社や工務店の担当者へ問い合わせてみましょう。

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