土地購入の注意点は?初心者が知っておくべき重要な8つのポイントを徹底解説
土地購入は大きな買い物であり、失敗しないためにはいくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。初めて土地を購入する方にとっては、すべてが未知の経験です。この記事では、土地購入のプロセスや初心者が必ず押さえておくべき8つの重要なポイントについてくわしく解説します。後悔のない土地選びを目指す方は、ぜひ最後までお読みください。
土地購入までの流れ
土地購入は注文住宅を建てるための第一歩であり、順を追って手続きしていく必要があります。土地購入を決めるまでの期間は個人によるものの、最短でも半年程度を見込んでおくと安心です。以下では、大まかな流れを4つのステップに分けて解説しましょう。
1. 理想の住まいをイメージする
家族のライフスタイルを考慮し、どのエリアで、どのように暮らしたいのかを思い描きます。生活拠点や建物のイメージが具体的に浮かばない場合は、以下の条件について考えてみるのがおすすめです。
- 住宅性能
- 予算
- デザイン
- 住みたいエリア
- 最寄り駅までの距離
- 通勤や通学時間
- 教育施設や医療福祉の有無
- 商業施設の充実度
- 価格相場
- 交通の利便性
2. 土地探しを始める
住みたいエリアや住まいのイメージ、予算が見えてきたら、具体的に土地探しを開始します。不動産会社に希望を伝えて探してもらうのが一般的なものの、理想に近い土地を見つけるのは容易な作業ではありません。
条件に優先順位をつけ、妥協できるポイントを用意しておくとスムーズに進みます。また、期限を設けておき、希望の注文住宅を建てられる土地が見つからない場合には、新たなエリアを開拓することも重要なポイントです。
3. 施工会社を決める
注文住宅を建てたい土地を見つけるのと並行して、施工会社を探し始めます。施工会社の種類は大きく分けて3つあり、安心と信頼のハウスメーカー、地域密着型の工務店、個性的な設計事務所です。土地探しをしながら施工会社に相談しておくと、建築基準法や行政規制を確認できるメリットがあります。場合によっては敷地調査と地盤調査も依頼できるので、初めて土地を購入する方でも安心です。
4. 土地を購入する
土地購入の手続きは、「買付証明書の提出」「土地売買契約」「引き渡し」の3段階に分かれます。土地売買契約から引き渡しまで、通常1~2か月かかるのが一般的です。
- 買付証明書の提出:専用用紙に記入し、署名と捺印を行いますが、この時点では金銭のやり取りは発生しません。
- 土地売買契約:買付証明書提出から1週間~10日以内に行われ、宅地建物取引主任者から重要事項説明を受けた後に契約を締結します。
- 引き渡し:住宅ローンの金銭消費賃借契約(金消契約)が終わり、決済完了後に土地が購入者に引き渡されます。
上記の手続きをサポートしてくれる、ハウスメーカーや工務店がほとんどです。相談する際に土地購入が初めてだと伝え、注意点やアドバイスをもらいましょう。
土地購入時に気をつけたい8つの注意点
土地購入は注文住宅の土台ともなるので、失敗しないための注意点をしっかりと把握することが重要です。土地購入時に特に気をつけたい8つの注意点を解説しますので、ポイントを理解しておきましょう。適切な判断ができれば、土地購入で後悔するリスクを減らせます。
1. 地盤が軟弱な土地は工事費がかかる
軟弱な地盤にそのまま住宅を建てると、家が傾くかもしれないという恐れがあります。買わないほうが無難ではあるものの、日本では軟弱地盤が珍しくありません。軟弱地盤を候補から外すと、購入可能な土地がかなり限られてしまいます。そのため、土地購入後に地盤調査を行い、地盤が弱い場合は補強工事を行うという流れになっています。
主な流れとはいえ、補強工事には費用がかかるため、軟弱基盤の土地は避けたいものです。下見の際に以下のポイントに該当する場合、地盤が弱い可能性があります。
- 道路が大きく下がっている
- 道路に広範囲のひび割れがある
- ブロック塀が不自然に傾いている
- 擁壁に複数のひび割れがある
上記の状態があっても土地購入したいと思える条件の場合は、補強費用を予算に組み込んでおくと安心です。後から予算オーバーにならないよう、契約前に住宅販売会社の担当者に補強工事費用の見積を依頼してみましょう。
2. 境界が曖昧な土地では近隣トラブルが発生しやすい
周囲の土地との境界が不明瞭な土地を購入すると、境界線を巡って隣家と揉める可能性があります。また、土地の面積がはっきりしないため、住宅ローンの審査で銀行が難色を示すケースが多いのも注意点です。実際、境界が不明確な土地にブロック塀をつくって隣人とトラブルになり、工事がストップしてしまったという事例もあります。
過去の測量記録がない場合、境界が不明確な土地には境界を示す杭がありません。土地の売買において、売主は買主に境界を明示する義務があります。そのため、不確かな場合は隣接者にも立ち会ってもらい、測量によって境界を確定してから購入の手続きを進めるのがおすすめです。境界杭や測量経歴がない土地の購入を希望する場合は、必ず測量と境界確定を行ってから購入しましょう。
3. 高低差のある土地は予算が多く必要
周囲と比べて高低差のある土地は、購入にあたっていくつかの注意点があります。周囲よりも低い土地の場合、雨の日に雨水が流れ込みやすくなるというのが課題です。敷地が水浸しになったり、雨と一緒にゴミや土が流れ込んだりする恐れがあり、事前に盛土の必要があります。盛り土とは、傾斜のある土地を平らにするために土砂を盛ることです。つまり、周囲と高さを揃え、浸水は防げるものの、盛り土にかかる費用が発生します。
一方、道路から見て高い位置にある土地では、玄関までのアプローチや駐車場部分の土を削らなくてはなりません。階段や擁壁(住宅の崩壊を防ぐ基礎)の設置には費用が余分にかかり、条件によっては建築に制限があります。
4. 進入路が狭い土地は車の出入りが難しい
敷地への進入路は幅が狭いと、車の通行が困難です。出入りのたびにストレスを感じるので、自家用車を所有しているご家庭では注意しましょう。建築基準法によると、敷地に建物を建てる際は、道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。2メートルは、多くの国産乗用車であれば問題なく通過できるとされる幅です。しかし、実際に運転してみると横幅ギリギリだとわかるので、運転に自信のない方には難しいかもしれません。可能であれば、一度試してみるのがおすすめです。
また、進入路が狭い土地を購入後、隣接する家が塀をつくるというケースもあります。2メートル幅の侵入路に壁ができると、より狭く感じられるでしょう。土地購入の際は、最低でも2.5m、できれば3mの幅があると安心です。角地の場合、隅切り(道路に面した土地の角を切り取り道路状にすること)がされていると、見通しが良くなり、車や通行人の安全を確保できます。
(参考:e-Gov法令検索「建築基準法」)
5. 進入路が分割所有権だと工事がスムーズに進まない可能性がある
進入路を囲んで複数の区画がある分譲地では、進入路の権利によるトラブルにも注意が必要です。進入路の権利の持ち方は「共有持分」と「分割所有」の2つに分けられます。
共有持分とは、進入路を複数名で所有し、それぞれの所有権の割合を示します。たとえば、3軒で進入路を平等に所有している場合、共有持分は1/3です。進入路全体の使用権を持つ一方で、他人の権利を不当に侵害しない責任も負います。進入路はみんなで使うものという意識が生まれ、水道管やガス管の修理などで協力しやすい環境というのがメリットです。
一方、分割所有は、進入路を区画の数に分割します。各家が1区画分ずつの権利を所有するため、分譲地内で誰かと仲が悪くなると、工事を進めようとしても阻止される可能性があるというのが注意点です。嫌がらせを受けたり、使用料を要求されたりするトラブルが発生した事例もあります。
最近では共有持分が主流となっているものの、古くから家がある分譲地の一角の土地購入をする際は分割所有権になっていないか事前に確認しましょう。
6. 抵当権が付いている土地は差し押さえのリスクがある
抵当権とは、住宅ローンなどを借りるときに金融機関や保証会社等が借主に対して、購入する土地や建物を担保とする権利です。借金を返せなかった場合には、貸し手には土地を差し押さえる権利があります。つまり、抵当権付きの土地を購入すると、元の地主が借金を返済できなくなった時点で土地を差し押さえられるというのが注意点です。
通常は、土地の所有権を移転する前に抵当権を抹消するという条件を契約書に盛り込むため、抵当権付きの土地を個人が購入する機会はほとんどありません。しかし、借金がすぐに返済できると聞いていたのに、実際にはお金がなくて抵当権を外せないというケースもあります。他にも、借金を返済したものの貸し手が亡くなり、抹消手続きに1年近くかかったという事例もあります。
抵当権の抹消手続きがスムーズに進まないと、家を建てるのが大幅に遅れてしまうのが問題です。マイホームを計画的に建てたい場合は、抵当権付きの土地はできるだけ避けましょう。土地購入の際には、抵当権が抹消されているかどうかの確認は必須です。
7. 近隣トラブルがあると住み心地に影響を及ぼす
マイホームを購入すると、賃貸のように手軽に引っ越すことが難しくなります。そのため、近隣住民の人柄は、快適な生活を送る上で重要なポイントです。土地の見学に足を運んだ際は、周辺住民の様子を伺い、気軽に声をかけてみましょう。「土地を下見に来たのですが、住み心地はどうですか?」と尋ねると、気さくに教えてくれる人が多いはずです。会話を交わす中で、さりげなく近所の人間関係についても聞いてみます。
地域の情報は、住んでいる人にしかわからないものが多く、周囲に小児科がなくて不便というような具体的な問題を知るチャンスです。知らない人に話しかけるのに抵抗がある場合は、住宅会社の担当者に代わりに聞いてもらうのがおすすめです。
ご近所問題は、住んでから気づいても手遅れになってしまいます。長年住むマイホームだからこそ、安心して暮らせるかどうかの情報収集は重要です。
8. 音や臭いの問題は個人による
購入する土地の近くに工場やお店があると、騒音が気になる可能性があります。また、飲食店の種類によっては、洗濯物を外に干せなかったり、天気の良い日に窓を開けられなかったりするほど臭いが気になるかもしれません。土地購入の際は、周辺の音や臭いのについても確認が必要です。
できれば、下見の時間帯や曜日を変えて何度か足を運びましょう。たとえば、下見をした日曜日は工場が休みで静かだっただけというケースもあるためです。また、臭いは風向きによって変わるため、条件の異なる日に訪れることで気づきやすくなります。飲食店の場合は夜に酔っ払いが騒がしい可能性もあるので、昼間と夜間の下見がおすすめです。
臭いや音に関しては感じ方にも個人差があり、不動産の情報として特記されにくいポイントとなります。住む人のライフスタイルによっても気になる時間帯が異なる問題となるので、ご自身で確認しましょう。
土地購入の注意点を見逃さないためのチェックリスト
土地購入時の注意点をお伝えしましたが、実際に下見に行くと確認すべき項目を見落としてしまう可能性があります。土地購入で失敗しないためには、事前にチェック項目をリストアップしておくのがおすすめです。
土地購入前の注意点リスト(例)
・日当たり ・風通し ・周辺の土地との高低差 ・水はけの良さ(道路に側溝があるか) ・自家用車が駐車しやすいか ・隣地から木の枝や塀が侵入していないか ・交通量の多さ ・ゴミ収集所の場所 ・騒音の有無 ・土地の利用に関する制限 ・接道道路は公道か私道かの確認 ・ガスや水道は引かれているか ・地盤の状況 ・近隣住民の雰囲気 |
上記は一例に過ぎないので、ご自身に合ったチェックリストを作成しましょう。余裕があれば、優先順位をつけておくと複数の土地で迷ったときに判断しやすくなります。
まとめ
土地購入の注意点を理解しておくと、入居後に後悔するリスクを大幅に減らせます。この記事で紹介した8つのポイントを参考に土地を探し、慎重に検討を重ねるのがおすすめです。また、ハウスメーカーや工務店は地域に根づいているほど、よりくわしい情報やアドバイスをもらえます。安心して土地を購入したい方は、ぜひ気軽に相談してみましょう。