注文住宅の窓設計でよくある失敗6選と後悔しないために知っておきたいポイントを徹底解説
窓のある注文住宅のリビングダイニング

家づくりコラム

注文住宅の窓設計でよくある失敗6選と後悔しないために知っておきたいポイントを徹底解説

窓のある注文住宅のリビングダイニング

注文住宅では窓の設計が重要なものの、ポイントを押さえないと失敗しやすい問題です。この記事では、よくある6つの失敗例と対策方法をくわしく解説し、窓の役割や種類についても紹介します。理想的な住まいを実現したい方や窓プランを計画する方は、後悔しないためにも参考にしてみてください。

注文住宅の窓が担う3つの役割

注文住宅の窓を開けて水を飲む女性

注文住宅の窓を考える際は、役割を理解しておくと失敗のリスクが減ります。「採光」「通風」「開放感」がキーワードとなり、快適で健康的な生活に直結しているためです。それぞれの役割や目的について、くわしく解説します。

採光

窓の役割1つめは、室内に太陽光を採り入れることです。注文住宅に窓を設けないと、部屋は一日中暗くなってしまいます。不健康な環境を避けるためにも、リビングや寝室などの居室には窓を設けるように建築基準法で定められています。最低限の採光面積が確保できない部屋は「無窓居室(むそうきょしつ)」とみなされ、居室として認められません。窓の最小面積は、注文住宅の立地や隣家との距離など、窓の設置条件により異なります。

(参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」)

開放感

窓の役割2つめは、外の景色を通じて部屋に開放感を与えることです。家の中から庭や自然を眺められると、部屋が広く感じられます。視線が気になる場合は、窓を目線より高い位置に設置するのがおすすめです。プライバシーを守りつつ、開放感を得られるでしょう。窓から広がる景色が、部屋の雰囲気も明るくします。注文住宅では部屋からの眺めも意識して設計すると、リラックスできる空間を実現可能です。

通風

窓の役割3つめは、風の出入り口となることです。部屋の湿気や臭いを排出し、空気を入れ替えるのに役立ちます。建築基準法では必要な換気面積も定められており、居室の床面積の1/20以上が必要です。部屋に2か所以上の窓があると、風通しはさらに良くなります。効率的な換気ができると、冷房費の削減にも効果的です。また、環境によっては、鳥や虫の声を楽しめるでしょう。

(参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」)

注文住宅で失敗せずに設置できる窓12種類

2種類の注文住宅の窓

注文住宅に設置しても失敗しない窓には、主に12種類あります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介しますので、設置場所を決める参考にお役立てください。

FIX窓

FIX窓は開閉できない固定式の窓で、「はめ殺し窓」とも呼ばれます。採光や眺望を楽しむ役割があり、吹抜けや高い位置の窓として人気です。高い気密性やコストの安さ、デザインの幅が広いというメリットがあります。一方で、通風が確保しづらく、掃除が難しいという点がデメリットです。

滑り出し窓

滑り出し窓は外側へ開く窓で、縦滑りと横滑りがあります。縦滑り出し窓は垂直軸を中心に開くため、省スペースで設置が可能です。気密性や通風性の高さがメリットな一方、雨が入りやすいというのがデメリットです。横滑り出し窓は水平軸を中心に開き、雨の侵入を防ぎながら通風を確保できます。しかし、大きな窓には不向きで、外側に網戸を設置できない点がデメリットです。

引き違い窓

引き違い窓は、2枚のガラスを左右に引いて開閉します。古くから多くの住宅で使用され、開閉時に場所をとらないのが特徴です。価格が安いというのがメリットなものの、気密性が低く、防犯に不向きというデメリットがあります。

上げ下げ窓

窓ガラスを上下に動かして開閉する窓で、両方が開く「両上げ下げ窓」、片方のみ開く「片上げ下げ窓」、上下連動の「バランス上げ下げ窓」の3種類です。デザイン性が高く、防犯性や気密性に優れています。一方で、掃除がしにくく、カーテンの取り付けが難しいというのがデメリットです。

開き窓

開き窓はドアのように開閉し、両開きタイプは左右両方から開けられます。左右どちらかしか開かない片開きタイプには外開きと内開きがあり、高さや幅のバリエーションが豊富です。しかし、可動域が大きいため、強風時に破損しやすいというデメリットがあります。

スリット窓

スリット窓は縦や横に細長い窓で、複数並べると建物の外観をおしゃれに演出できるのが特徴です。縦長の場合は天井を高く見せ、横長の場合は採光性や換気効率を高めるメリットがある反面、設置位置や天候によっては採光性が低くなってしまうデメリットもあります。

地窓(ローサイドライト)

地窓は床面に接する低い位置にあり、座った状態で庭を眺められるのが特徴です。掃除がしやすく、通行人の視線が気にならないというメリットがあります。一方で、ごみや虫が入りやすく、立ったまま開閉できない点がデメリットです。

天窓

天窓は、屋根に取り付けて天井から光を採り入れます。「トップライト」や「ルーフウィンドウ」とも呼ばれ、サイズが小さくても優れた採光性が特徴です。住宅密集地でも効果的に光を採り入れられるメリットがある反面、夏場には室内が暑くなりやすいデメリットもあります。

高窓(ハイサイドライト)

高窓は天井に近い位置に設置され、主に採光が目的です。周囲の障害物に影響されずに室内を明るくでき、外からの視線を遮りつつプライバシーを守れるメリットがあります。一方で、手動で開閉が難しく、天井が低い部屋では高窓の効果を十分に得られないのがデメリットです。

出窓

出窓は、建物の壁から外に張り出す形で設置されます。多くの場合カウンターが部屋側にあり、飾り棚としても使えるのが特徴です。部屋を広く感じさせ、景色を楽しむピクチャーウィンドウとしても活用できます。しかし、冬場は結露しやすく、窓が目立つことで防犯上のリスクが高まるというのがデメリットです。

掃き出し窓

掃き出し窓は、床から天井近くまである大きなサイズが特徴となります。出入りがしやすく、開放感や高い採光性・通気性を確保できるのがメリットです。一方で、外から部屋の様子が見えやすく、カーテンやブラインドのコストが高くなるデメリットもあります。

肘掛け窓

肘掛け窓は、床に座った際に肘を掛けられる高さ(約36~45cm)に設置されます。和室に用いられるケースが多く、窓の近くに座ると目線が外に抜けるというのが特徴です。下に家具を配置でき、開け閉めの仕方を選べるメリットがあります。ただし、採光性や開放感は掃き出し窓に比べて劣り、小さな子どもの転落に注意が必要です。

注文住宅の窓の配置で後悔しないために知っておきたい6つの失敗例

注文住宅の窓の失敗イメージ

窓に関する失敗は、実際に生活を始めてから気づくケースが大部分を占めます。入居後に後悔しないためにも、ある程度の知識を身につけてから計画するのがおすすめです。よくある失敗例を6つ紹介しますので、参考にしてみましょう。

窓の数が多すぎると注意住み心地を悪化させる

注文住宅に窓を多く設置してしまうと、住み心地が悪くなって失敗したと感じるケースがあります。以前は家の中を明るく開放的にするために、窓の数を増やすプランが人気を集めていました。ところが、「夏は暑く、冬は寒い」「外から家の中が見えやすい」との問題があり、現在は必要最低限の数に留めるプランが主流です。初期費用が抑えられるだけでなく、冷暖房費のコストを削減できるメリットもあります。窓の設置を計画する際は、明るさや風通し、プライバシーについて考慮しましょう。

トイレの窓が防犯リスクを高める

トイレに窓を設置すると、防犯上のリスクが生じてしまいます。間取りの失敗を避けるために、最初からトイレには窓を設けないプランが主流となってきました。北側や死角にあるトイレは泥棒に狙われやすく、面格子を後付けしても不安は完全に解消できません。窓がないと臭いや狭さが気になるかもしれませんが、換気扇や内装の選び方で解決できます。どうしても窓を設置したい場合は、高窓や開閉できない窓を選ぶと防犯を強化できるでしょう。

【関連記事】
注文住宅のトイレの設計で後悔しないためのポイントは?収納や間取りの失敗を防ぐコツを解説

引き違い窓の隙間からホコリが入ってくる

引き違い窓は、 左右2枚のガラス戸をスライドして開閉します。レール部分に隙間があるため、土埃やホコリが室内に入りやすいのが課題です。風の強い日は失敗したと感じやすく、窓選びのポイントとなります。注文住宅の窓は、密閉度が高い滑り出し窓や、開閉しないフィックス窓がおすすめです。そもそも窓が必要のない場所であれば、取り付けないという選択肢もあります。窓の数が減ると掃除の手間が減るだけでなく、室内を清潔に保てるメリットも考慮しながら選びましょう。

北側に窓がないと室内が暗くなる

注文住宅の北側に窓をつけても採光は期待できないと考える人は多くいるものの、まったく光が入らないわけではありません。全面が壁よりも、窓があれば多少なりとも明るさを得られます。とくにキッチンのような作業スペースの場合、予想以上に暗くなって失敗したと感じるケースもあります。自然光を確保したい場所や電気代の節約を意識したい場合は、北側の窓は慎重に判断しましょう。防犯面でのリスクが気になる方は、高窓や合わせガラスがおすすめです。

西向きの窓は眩しさと暑さのデメリットがある

西向きの窓は、太陽が低くなる夕方に直射日光が入りやすいという難点があります。眩しいだけでなく、部屋が暑くなりやすく、夏場は注意が必要です。西日の当たる部屋で過ごすためには冷房を強めることになり、電気代が高くなってしまう失敗もあります。窓の断熱性を高めた上で、遮光カーテンを使用するのも対策の1つです。ただし、常にカーテンを閉めるくらいなら、最初から窓がなくても問題ないかもしれません。西向き窓のデメリットをよく考え、慎重に判断しましょう。

立地によっては隣家からの視線が気になる

注文住宅の立地によっては、窓があることで隣の家の視線が気になるというのが問題です。とくに住宅地でよく見られる失敗として、家の中が丸見えになってしまうケースがあります。日当たりを考えて南側に大きな窓を設けたものの、通行人の視線が気になると、カーテンを閉めっぱなしにせざるを得ません。建築予定の土地に隣家がすでに立っている場合は、窓の位置を調整しましょう。まだ隣家が完成していないようであれば、ミラーレースカーテンで視線対策を行うのも1つの方法です。

注文住宅の窓選びで失敗しない3つのポイント

注文住宅のキッチンの窓を開ける女性

注文住宅の窓で失敗しやすい例を挙げて紹介した通り、設計の段階で判断を誤ると後悔の原因となります。窓選びを成功させるためには、主に3つのポイントが重要です。

目的を重視して検討する

注文住宅の窓を考えるにあたって、何よりも大切なのは「目的」となります。窓は一度つけてしまうと、簡単には撤去できません。設計段階で、以下のポイントを基準に考えてみましょう。

すべての要件を満たす必要はないものの、明確な目的が浮かばない場合は不要の可能性が高くなります。住宅販売会社の担当者とも相談し、失敗のリスクはできるだけ取り除くのがおすすめです。

窓の開閉を具体的にイメージする

注文住宅の窓は開け閉めをするのが原則のため、実際の生活をイメージしてきます。失敗として多いのは、以下のような場合です。

さらに、開閉の回数や時間帯、目的を具体的に想像してみましょう。細かくイメージするほど、理想の窓に近づきます。

掃除の手間も考慮して計画を立てる

注文住宅の窓は、掃除について考えておくのも重要です。形状や大きさ、設置場所によって手入れの難易度は変わってきます。どのくらいの頻度で行い、プロへの依頼が必要かどうかも含めて検討しましょう。窓掃除は大掃除のタイミングでしか取りかからないというご家庭も多く、お気に入りの窓を綺麗に保つためには工夫も必要です。窓のプランは掃除の手間も考慮して計画すると、失敗するリスクを減らせます。

【関連記事】
間取りを自由に選べる注文住宅で後悔しないポイントと7つの具体例を徹底解説

まとめ

注文住宅の窓は、失敗したくない設備の1つです。一度設置したら変更が難しいため、慎重に検討を重ねる必要があります。記事の失敗例を参考に計画すれば、快適な暮らしが実現可能です。窓のある生活をイメージし、親身になってくれるハウスメーカーや工務店担当者に相談してみましょう。

家づくりコラム一覧へ戻る